インデックスファンドの勢いが凄い⁉

NISA制度が大きく改正されたこともあり、インデックスファンドの人気が高まっています。

今から約10年ぐらい前の2012年末時点の追加型株式投資信託(ETF(上場投資信託)を除く)の残高全体に占めるインデックスファンドのシェアは、約9%程度でしたが、2024年1月末には、30%を超えるようになってきました。

インデックスファンドとは、株式市場の平均値ともいえる株価指数に連動するように作られた投資信託です。

インデックスファンドと対をなす存在としてアクティブファンドと呼ばれているものがありますが、こちらは、投資のプロと言えるファンドマネージャーなどが、市場や企業を調査し、投資するタイミングなどを計りながら、平均値以上の運用パフォーマンスを上げることを目指している投資信託です。

ところが、金融市場の不思議なところとして、投資のプロが運用したからと言って、平均値以上の成績が得られるわけではないというところがあります。

なんとプロが運用しているはずのアクティブファンドの8割超が、市場の平均値であるインデックスファンドより運用成績が劣っていると言われています。

そして、そんなインデックス型の投資信託でも、特に人気なのが、米国の株価指数S&P500やオールカントリ―、TOPIXといった『時価総額加重平均型』という計算方法を使っている投資信託です。

時価総額加重平均

インデックス(株価指数)と一言で言っても、S&P500やTOPIXのような時価総額加重平均で計算しているものもあれば、NYダウや日経平均株価のような、時価総額によらない株価指数もあります。

また他にも、S&P500配当貴族指数や東証REIT Core指数のような、構成銘柄を均等に配分する均等加重方式をとっている株価指数といったものもあります。

時価総額加重平均とは、構成銘柄を時価総額で案分して配分する方式です。

時価総額とは、株価×発行株式数のことであり、ざっくりと言えば、その会社を丸ごと(発行株式全部を)買う時の値段といった感じなります。

日本国内の時価総額トップと言えば、言わずと知れた世界的な自動車会社のトヨタです。時価総額は、約52兆円(2024.5)です。

そして、国内の時価総額2位は三菱UFJで、時価総額は約20兆円(2024.5)になります。

両者を時価総額で比較すると、トヨタは、三菱UFJの約2.6倍(52兆円/20兆円)規模が大きいということになります。

つまり、時価総額加重平均で運用しているTOPIX連動のインデックスファンドの場合だと、トヨタを三菱UFJの約2.6倍でポートフォリオに組み込んでいるというわけです。

時価総額加重平均型のメリットとデメリット

インデックスファンドとして、時価総額加重平均型をつかうことのメリットは、ポートフォリオ内で売買する頻度を少なくできる効果があります。

たとえば、均等配分方式のインデックスの場合には、トヨタの株価が上昇して、三菱UFJの株価が下落した場合には、トヨタ株と三菱UFJ株を均等に保有するために、株価が上昇したトヨタ株の一部を売却して、下落した三菱UFJ株を買い増すという調整が必要になってきます。

しかし、時価総額加重平均型の場合には、特定の株価が上昇した時には、それと同時に時価総額も増加するので、一部を売ったりして調整する必要がありません。

またそれと同様に、特定の株価が下落した場合にも、それと同時にその株式の時価総額は減少することになるので、買増す必要もありません。

このように、時価総額加重平均型という運用方法を取ることで、不必要な売買を行う必要がなくなり、同時に、売買に係る手間や手数料といったコストを負担する必要もなくなります。

特に、人気がでて運用資金が膨大になった投資信託の場合には、よりその効果は大きくなってくるのではないかと思われます。

しかし、その反面細かな調整を行わないという事が、かえって仇となる可能性も考えられています。

時価総額に準じて投資をするという事は、人気が出て会社の本質的な価値以上に株価が上昇した銘柄に、投資した資金を集中させてしまいやすくなります。

例えば、バブルと言われるような価格上昇を見せる銘柄を、そのバブルと言われる価格で、他の割安になっている銘柄よりもたくさん買い付けることになりかねません。

つまり、みんなが時価総額加重平均型のインデックスファンドばかりを買うようになると、割高な銘柄がより割高になってしまい、株式市場の『株価を適正な水準に保つ』価格調整機能に障害がでることも考えられています。

それが、時価総額加重平均型のデメリットになります。

時価総額加重平均型のインデックスファンドに投資することは、本当に適正だと言える水準の価格で株式を買っているのかどうかが怪しいこともあるというわけです。

しかし、もしそうであったとしても、あくまで投資信託で運用をするのなら、時価総額加重平均型のデメリットよりも、『コストが安い』というメリットが勝ることになり、インデックスファンドを選択することが正解である可能性は高いのかもしれません。