運用益に税金がかからない非課税制度ニーサ
収入があれば、税金を払う。これが日本の税制の基本的な考え方だと言えます。
当然、株式投資や投資信託などで配当金や分配金、売却益などの収益が発生すれば、税金を支払うことになります。
ただ、日本には『源泉徴収制度』という便利な税金の徴収制度があるために、実際に自分が株式投資などで税金を支払っていると認識できている人は、あまり多くはないのではないかと思っています。
源泉徴収制度では、収入が発生する都度、自動的に税金分が控除されていて、私たちはその税金を差し引いた後の残りを受け取っています。
この源泉徴収制度は、株式投資などに限らず、債券の利息や預貯金の利息などでも行われています。そしてこの源泉徴収制度の中でもっとも有名なのが、給料なのではないでしょうか?
給料をもらうとき、所得税や住民税を差し引く前の金額で自分の収入を考えているという人は、一体どれだけいるのだろうか?
おそらく、ほとんどの人が、手取り(銀行口座に入金されるお金)で収入を計算しているのではないだろうか?
これと同じように、株式や投資信託の収益も、手取りで考えてしまっていることは多いのではないでしょうか?
NISA口座を利用すると、この源泉徴収が行われないため、単純に手取りが増えるようになります。
NISA口座は、非課税口座と呼ばれ、NISA口座内で取引して得た配当金や売却益などは、税金が課されないことになっています。
株式の配当金などの金融資産にかかる税金の多くは、約20%(20.315%)の税金がかかることになっているのですが、NISA口座を活用することで、この支払いをしなくてよくなります。
ほとんどの人が、ニーサ口座をメインにして運用すれば十分かもしれない。
NISA口座の非課税制度の詳しい説明は、他にお任せしますが、一般家庭の資産運用では、NISA制度を使って運用していけば、それで十分になる可能性が高いと思っています。
NISA制度は、たびたび改正が行われてきていて、今では投資総額で1,800万円までを非課税で運用することもできるようになっています。
仮に夫婦それぞれでNISA口座を持っているとすると、世帯総額は3,600万円になります。
この金額は、資産形成の主な目的として挙げられることがある『老後資金の準備』として必要十分なお金だと思っています。
老後資金として、4,000万円とか1億円とかの金額が必要といった話を見かけることもありますが、現実に今を生きる70代以上の家庭で、そこまでの貯蓄がないと生活できないとったケースはむしろ稀です。
統計局の家計調査報告でも、70歳以上の二人以上の世帯の貯蓄の平均値は、約2500万円となっていました。(2023年(令和5年度))
しかもこの数値は、平均値であり、世帯数の多い中央値の貯蓄額は、さらに低いことが考えらえます。
これらのことから考えると、普通の老後の生活準備として、2,000万円あれば十分だということが予測できます。
つまりは、NISA口座での貯蓄だけで十分という可能性が高いというわけです。
非課税で運用し、非課税で引き出せる。老後資金として活用するのにピッタリ。
NISA口座は、運用益が非課税になり、将来金融資産を売却した時も非課税で利用できます。
つまり、運用中と資金を取り崩す時の両方で非課税のメリットを受けることが出来るので、NISA口座の非課税枠を最大限利用すれば、老後資金の準備にはピッタリの制度だと言えます。
NISA口座は運用期間中を非課税で運用できるわけですが、これは運用パフォーマンスを引き上げることにも貢献してくれます。
配当金を受け取って、約20%税金を差し引かれて、再投資するよりも、税金を差し引かれないで、再投資した方のが、単純に投資額が増えるので、あきらかに有利です。
資産運用では、複利を意識して運用するといいとよく言われますが、この複利の力を無駄なく継続するためには、税金を差し引かれない方が計算上はあきらかに優位になります。
そして、資産を売却して引き出しする時も、税金のことを気にせず引き出せることも大きなメリットです。
長期で運用していると、含み益がとても大きくなることがあります。
1,000万円超の運用ともなれば、その利益は数百万円以上になる可能性も高いです。
ただ、もしその利益が課税の対象だったとすると、数百万円にたいしての約20%が税金になりますから、下手すると100万円、200万円といった金額の税金を納めなければならなくなるかもしれません。
そうなると、儲かっているがために売るに売れない、ということもあるので、現金として引き出すことを躊躇してしまい、使うに使えないということもあります。
その点、NISA口座での運用なら、売却益も非課税になるので、利益をそのまま受け取ることが出来ます。
NISA制度は、基本的にはメリットの多い制度だとは思います。ただ、その反面にはもちろんデメリットも存在しています。
NISA口座を利用する際には、そのデメリットについてもよく考えた上で運用することをお薦めします。