『複利』と『単利』
資産運用をするならば、必ず知っておきたい単語が『複利』です。
資産運用で利回りを考える際に、『複利』と『単利』の2つの言葉があります。
単利:元本×(1+利回り×運用年数)=元利合計
複利:元本×(1+利回り)^運用年数=元利合計
この計算式だけ見ると、何のことかよくわからないかもしれませんが。
単利が、元本に利回りを掛けているだけなのに対して、複利は元本に前回の利益をプラスして、そこに利回りを掛ける計算式になっています。
つまり、複利は利益が積みあがりながら利益が倍増していくような計算になります。
その違いをグラフで表したのが下の図です。
『緑の単利5%』の線と、『黄色の複利5%』の線を比較すると、年数が経つにつれて、その差が大きく開いていくことが確認できます。
単利と複利には、これだけ大きな差が出るという事です。
有名な物理学者のアインシュタインは、この複利を『人類最大の発明』だと言いました。
「複利は人類最大の発明。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」
資産運用では、このアインシュタインの言葉で言う所の、「知っている人」となって、複利で稼ぐことを考えることが大切になってきます。
複利をあまり過信しすぎない
複利を上手く使えるようになるためには、「複利をあまり過信しすぎないこと」が大切です。
複利の効果は、確かに偉大です。
単利と複利では、数十年後には2倍の差になることもあり。また先のグラフを見ると、たった1、2%の違いが、複利になるととてつもなく大きな違いを生み出すことも確認できます。
しかし、現実の運用では、『複利』はあまり意識しすぎない方がいい。
なぜなら、複利の効果は、実は私たちにはあまり実感できないという問題があるからです。
複利の効果が目に見えるようになるためには、とにかく時間がかかります。
株式や投資信託などの一般的な金融資産に投資する程度の運用利回りでは、複利を実感できるようになるまでに、十数年以上の時間がかかる場合がほとんどです。
目先の1,2年程度では、少しも複利の効果を実感することができません。
意識しても効果が得られないことというのは、なかなか長続きしません。もっとはっきりと効果が見えることに集中した方が、人間にとってはモチベーションアップにつながりやすいものです。
また、人間の脳には、長期的な視点を持つことがとても苦手という性質があることも、複利運用を難しくしています。
そのため、単純に資産を積み上げる。要は貯蓄するという事に集中した方のが、複利のことを考えるより、ずっと効果が高くなります。
複利は間違いなく大切な考え方です。しかし、その複利を強く意識していても、なかなかうまくいかないので、あまり過信するのもよくない。
矛盾しているようですが、そういう姿勢で資産運用に臨んだ方のが、資産形成のスピードは速くなるものです。