投資で未来予測は必要ない?
この世の中、確実に儲かる投資なんてものはありません。
もし、「これに投資すれば、確実に儲かります」なんて言ってきたら、それは詐欺だと疑った方が良い。
世界は不確実なことばかりです。「この先どうなるかわからない。」、「思ったように上手くいかない」なんてことがほとんどです。
投資をする際に、世界の先を読むことが大切だと思っている人は多いものです。
でも実際の投資の現場では、「先を読むこと」というのは、案外必要ではないことの方が多いものです。
投資の世界で活躍するウォーレン・バフェットやハワード・マークスといった著名投資家たちも、経済の先を読むことはできないと明言しています。
つまり、彼ら著名投資家たちの投資をするかしないかの判断に、未来予測というのはそれほど重要な判断材料にはなっていないという事です。

リスクのコントロールの仕方を覚える
「未来が予測できないのに、なんで投資が出来るの?」
投資でリターンを得るためには、良い未来が描ける投資先に投資をするのが効果的だというのは、誰でもわかっている。
そして、予測を外せば、損することもある。
「未来を予測しないで投資をするというのは、危険でしかないのでは?」という声も聞こえてきそうです。
じゃあ、著名投資家たちはどうやって投資の判断をしているのだろうか?
おそらく彼らは、未来を予測する能力というよりも、リスクをコントロールする能力が高いのだと思われます。
予測できないものを予測しようとするよりも、今どの程度のリスクを取っているのかを判断しながら、リスクをコントロールして投資を行っている。
予測力よりも、リスクを感知しコントロールする能力によって、著名投資家になれたのではないかと思っています。
そして、そのリスクコントロールの手法の一つが、『分散投資』というわけです。
分散投資がリスクのコントロールにつながる理由
分散投資をすると、リスクが分散されます。
たとえば、AとBとCの3つに分散投資をすることで、たとえAがダメになったとしても、BとCが残ることで、財産をすべて失うリスクは確実に減らせます。
「卵は一つの籠(かご)に盛るな」の格言通りです。

また、ファイナンス理論でも、複数の銘柄に分散投資をすることで、資産全体の価格の変動が緩やかになる効果があると言っています。
株式や債券など各資産の価格変動には、それぞれに癖のようなものがあり、皆が一緒に連動して動いているわけではありません。
その資産価格の変動の違いを利用し、互いに上がったり下がったりを相殺しあうことで、各資産を組み合わせた運用資産全体としては、価格変動が緩やかになると言われています。
結論としては、未来がどうなるかわからないからこそ、『分散投資』が重要になるという事です。
そして、その分散のさせ方で、ある程度リスクをコントロールすることができるようにもなるというわけです。
分散のし過ぎに注意しよう!
分散投資が大切だという事が分かったことで、とにかくいろんなところに分散して投資しようと考える人もいるようです。
ですが、分散のやりすぎは、逆に弊害となることもあるので注意が必要です。
ファイナンス理論によれば、ある一定の分散を行えば、それ以上分散させても、分散の効果はあまり見られないと言っています。
そして、分散のし過ぎによる問題というのは、分散投資によってリスクを減らすことで、今度はリターンが犠牲になる可能性が高くなることにあります。
例えば、Aという投資先がリターン200%、Bという投資先が150%、Cという投資先が-50%、Dという投資先が-20%という結果が得られた場合。
Aという投資先だけに投資をしていれば、200%のリターンを得られらたことになります。
また、最もいい結果だったAと、最も悪かったCの2つに均等に投資をした場合には、25%のリターンになります。
しかし、A~Dすべてに均等に分散して投資をしたとすると、そのリターンは20%になってしまいます。
このような結果になったのは、投資先を広く分散させたことで、最も高リターンを得られた投資(ここではA)に投資する割合が減ってしまったことが主な原因です。
つまり何が言いたいのかというと、確かに分散投資をすることで、リスクを減らすことは出来ますが、その分散には『適度』というものがあるという事です。
感覚的には、『集中しすぎない程度の分散投資』というぐらいが最も効率的であると思っています。
現に著名投資家のウォーレン・バフェットが運用しているポートフォリオなどは、まさに集中投資になりすぎない程度の分散投資を行っているように感じます。