『世界のエリート投資家は何を考えているのか』の続編。
この本は、『世界のエリート投資家は何を考えているのか 「黄金のポートフォリオ」のつくり方』からの続編という感じになっています。
『世界のエリート投資家は何を考えているのか』では、資産形成を成功させるための投資の考え方や、世界最大のヘッジファンドとも言われるブリッジウォーター・アソシエイツを創業した、著名投資家のレイ・ダリオが考える、一般の人でも実行可能な資産運用の実例などを紹介していました。
対して本書『世界のエリート投資家は何を見て動くのか』は、お金や投資を通した自己実現や自己啓発に関する内容となっています。
もし、投資や資産運用について知りたくて本を読もうと考えている場合には、本書の『世界のエリート投資家は何を見て動くのか 自分のお金を確実に守り、増やすために』よりも、『世界のエリート投資家は何を考えているのか』の方があっています。
本書では、投資や資産運用の実践方法などではなく、もっと哲学的な、何のために投資をするのかや、ただお金を稼ぐのではない人生を有意義に生きるためのお金との付き合い方、一言で言うなら、幸せなお金持ちになるためにはどうしたらいいのかといった話題に触れています。
そして、幸せなお金持ちになるためのポイントは、「与える事」にあると言っています。具体的に言うなら、「寄附」です。
寄付という言葉への抵抗を失くそう。
よく、日本人は「寄附」が上手ではないという話をよく聞きます。
実際、日本人の「寄附額」は世界的に見ても少額だという記事やコラムを見かけることもあったりします。
日本人の中には、寄附の話になると、よく「そんな余裕はない。」や「もっと収入が増えてから。」、さらには「寄附するお金があるなら、私にちょうだいよ」といったことを言う人までいたりする始末です。
簡単に言ってしまえば、日本には「寄附」をするという文化がないことが問題なのだとは思いますが、それでも経済で大国となった先進国として、こういう話があるのは、ちょっと恥ずかしいことなのかもしれません。
最近では、ふるさと納税で自治体に寄附をする人が増えてきましたが、このふるさと納税も、実際には返礼品目当てというケースも少なくありません。
つまり、純粋に見返りを求めない「寄附」をしている人というのは、案外少ない。
実際、寄附というのは、できないのではなく、しないという事が多い。だって、数百円でも数千円でも寄附することはできるのだから、そしてその数千円を寄附したからといって、日々の生活に支障をきたすようなものではないのだから。
寄附する行為を咎めているのは、「なんか勿体ない」という気持ちだけだったりするものです。
本書では、そこを乗り越えることを薦めています。収入が多い少ないは関係なく、とにかく少額でいいから「寄附活動」を始めなさいと言っています。
筆者アンソニー・ロビンズは、ジョン・テンプルトンから『「10分の1税(収入の8~10%を協会や慈善団体に寄附する)」を払う人で、経済的に成功しない人はいない』という話を聞いたと言っていました。
ちなみにジョン・テンプルトンとは、「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という有名な相場格言を残した著名投資家です。
寄附を始めて幸せなお金持ちを目指す。
正直、なぜ寄附活動が、経済的成功に結び付くのか、寄付しないで貯蓄したほうのが資産形成は早まるのではないかと思わなくもありませんが、どうやらそういう次元の話ではないようです。
あくまで想像ですが、以前人間は遺伝子レベルで「共生」という本質があるという話を見ました。つまり、『人は、一人で生きていけるようにはできていない』という事です。
寄附をしたりする活動は、まさにその共生という本質的行動を行っているということなのかもしれません。寄附することは人間の本質的なものであって、その本質に従って行動しているからこそ、『幸せ』を感じたり、成功への道が見えたりするということなのかもしれません。
とりあえず、数百円からでも寄附を始めてみる。すると、何かが見えてくるのかもしれません。
もし数百円では何も見えてこないと感じるのであれば、おそらくその人は、もっと寄附する器があるということなのかもしれません。
本書を通して「寄附をする」という事にこれだけの意味があるんだなとを改めて感じさせられました。