世界を破滅させる脅威の存在を知る。

リーマンショックなどの世界金融危機を予言した、破滅博士との異名を持つヌリエル・ルービニ。

そのルービニによる今の世界にはびこる世界の脅威についてかかれた本です。

本書を読んだ正直な気持ちとしては、内容のほとんどが詳細なデータを持っての説明ではなく、よく見かける不安をあおるようなストーリーの話だったで、信用するには根拠が足りないような気がしたのと、ちょっと話が悲観的すぎるのではないかと思うところが多かったのですが、それでもだからといってそのすべてを無視できるような話でもないと感じました。

ルービニの語る世界の脅威には、まだ表面化はしていなくても、実際になんとなくの感覚で「不安だな」と感じているようなところが多いです。

世界的な債務の拡大で、今まさにバブルが起こっていて、その崩壊が近々あるのではなか。その時には、いったいどんな崩壊の仕方をするのだろうか?

技術革新は喜ばしいことだけど、AIによって失われる仕事に、自分も含まれているのではないだろうか?

そして、それは自分だけのことではなく、世界中で失業する人がふえることになるのではないだろうか?

今まで大雨にならなかったような地域が洪水になったり、大規模な山火事が起きたり、季節の変わり目が変に感じたり、地球温暖化などの環境問題は、本当に解決できるのだろうか?

また、環境問題によって、私たちの生活はどのように脅かされていくのだろうか?

アメリカと中国の対立が強くなり、トランプ大統領などの台頭によって、アメリカ自身の民主主義も今までとは違ってきているのかもしれない。

また、どんどん拡大していく格差は、どこまで開いていくのだろうか、格差が拡大することで治安が悪くなったりしないだろうか?

現に最近ニュースを見ていると、いろんな今までにないような犯罪のニュースが目に付くようになってきた気がする。

これらの問題は、まちがいなく今存在している。そのことは、誰もがわかっている。でも、見ないようにしているのかもしれない。臭い物に蓋をしてしまっているのかもしれない。

そんな私たちに、改めてその脅威を知らせようとしている。それが本書の目的なのかもしれません。

個人的には、どの問題もそれほどひどいものになるとは正直思っていません。もしそんな悲観的な未来を想像していたらとても投資なんてできるはずありません。しかし、たとえそれほどひどいことにはならないと考えていても、この話は知るべき脅威だと感じました。

なぜなら、肌感覚でその脅威が迫っていることは実感できるからです。

ルービニの本書で挙げた、これらの脅威に共通することとして、じわじわと脅威が拡大し、一気に表面化して暴れだすということがあげられます。

金融市場のバブル崩壊と同じ道をたどる脅威だということです。

じわじわと脅威が大きなものとなっている間は、気づかず、そしてあまり関心を示さず、どんどん大きくなってく脅威を脅威とかんじないまま時が過ぎていき。突然泡がはじけたように、大きな事件となって問題が表面化する。

膨大に拡大していく国や民間の債務。経済的に何か問題が起これば、すぐに借金で解決しようとする姿勢。

地球環境がじわじわと変わってきているのに、環境問題解決のコスト負担をおそれて現実的にはどんどん先延ばしにしている。

歴史的な規模で格差が拡大している中で、政治的な思惑があるのか、その解決策は一向に示そうとしない。格差是正の代表的な一手といえば「課税」ではあるのだけれど、票数獲得のためか減税することはあっても富裕層への課税は先送りしてしまっている。

まさに「ゆでガエル状態」の問題ばかりです。

これらの蓄積されてきた問題が一気に噴き出したとき、どうなってしまうのだろうか?

そしてルービニも最も警戒しているのが、これらの問題が単独で起こるのではなく、同時にいくつもの問題が一緒に起こった時、いったいどんなことになるのだろうかということです。

おそらくそうなった場合には、解決することはできないだろうというのがルービニの見立てのようです。

不必要に悲観的になることがいいことだとは思っていませんが、今あるこの本にかかれた脅威については、知っておいてもいいと思いました。