とびきり良い会社をほどよい価格?
『ほどよい会社をとびきりやすく買うよりも、とびきり良い会社をほどよい価格で買いたい』とは、よくウォーレン・バフェット流の株式投資法を説明する言葉として使われる言葉です。
この本は、この言葉がどんな意味を持っているのかについて、よく説明しています。
「素晴らしい会社を、安く買いたい。」とは、個人投資家なら誰もが考えることではないでしょうか。
しかし、個人投資家レベルで行う投資では、べつに特別素晴らしい会社じゃなくても、『いい会社』をそこそこの価格で買えれば十分なんだということが、この本を読むとよくわかります。
まず、株式を購入する時の第一の条件は、『優良な企業であること』ということです。株価というのは、企業が利益を稼ぐこと、つまり企業が成長することで上昇するものと言われています。
企業が成長すれば、それに連動して株価は上昇することになるので、今日より明日、今年より来年、今より10年後、そうやって成長を続ける企業に投資をする場合には、『とびきり安い価格』でなくても、『程よい価格』で買えていれば、いずれ必ず利益はでると考えているわけです。
つまり、株式投資をするときには、株価が高いか安いかのバリュエーションよりも、投資しようとする企業が『いい会社』かどうかの方が、実際は重要というわけです。
『いい会社』の見分け方。
株式投資でもっとも大切な、いい会社をみわけかたですが、この本では、いくつかのポイントを紹介しています。
この本で紹介されている『いい会社』のポイントは、「利益が伸びている」とか、「いい事業を行っている」とかではなく、数字などを使った「定量的」なポイントから『いい会社』かどうかを探っています。
『いい会社』の判断基準を「定量的」に判断できるようにしているということは、いい会社を見抜く特別な感性がいらないので、誰にでも判断ができると言い換えることもできます。
なおかつ、実際にその「定量的」な判断から選んだ会社に投資した場合の統計的なデータを本書で紹介しているので、結論として「なるほど」と納得させられるものがあります。
そして、そのデータを見せられると、本当に『いい企業に投資すること』がいかに大事なのかということを改めて考えさせられます。
本書の裏表紙に記載されている。『ウォール街のモメンタムウォーカー』を書いたウィスリー・R・グレイ博士の『野心的なバリュー投資家はぜひとも読むべきだ!』という言葉。
野心的なバリュー投資家として、この本を手に取ってよかったと思っています。
きっと野心的な投資家ならば、この本を読んだ後は、『とびきり良い会社をほどよい価格で買いたい』と本気で考えると思います。