生物の体は、複雑な関係性でなりたっている。
私たち人間は、誰もが老い、そして死んでいく。
しかし、この世界の生き物の中には、老いることがなく生きている、もしくは老いるのがものすごく遅く、そして私たち人よりずっと長く生きる生き物もいる。
彼らはなぜそれほど長く生きられるのか、そしていつまでも若いままでいられるのはなぜなのか。
そんな不思議な話から、老いないとはどういうことなのか、どうやったら老いを防げるのか、もしくは老いから回復することができるのか、そんなことに挑戦している科学者たちの世界の話です。
この本は、そんな老化に関する様々な研究の総まとめのような内容になっています。
様々な老化の研究の話を読んでいると、人などの生物の体というのは、本当に複雑にできているということを思わされます。
そして、複雑であるということは、いろんな器官や物質が、複雑に絡み合って、それぞれの関係性も複雑になっているということにもつながっています。
たとえば、よく「これを食べると健康になる」といった情報を聞くことが多々ありますが、実際には、その食べ物が健康に及ぼす効果がある反面、害をなすところも必ずある。いろんな器官がそれぞれに複雑に動いているため、その健康にとっていいと言われれている物質は、ある器官にとっては健康に良くても、他の器官で健康に悪いことが起こることがあるわけです。
わかりやすい例で言えば、薬です。薬には病気を治す、つまりは健康的になれる効果があると言えますが、必ずと言っていいほど副作用というもの考えておかなければいけない。
他にも、本書の中で、一般的には健康にいいと言われているポリフェノールが、実際には健康にいいどころか、身体にとって害となる物質であると書いてありました。
しかし、その害になる物質であるポリフェノールによって、ホルミシス効果がでて、結果的に健康にいい効果をもたらしている可能性があるとありました。
結局、健康に良いというのは、「これが健康にいい」という単純な答えになることはなく、総合的なバランスが大切だということを考えさせられました。
若さを保ち、健康で長生きするために必要なこと。
この本の中で、実際に目にすることが出来る、「若さを保ちつつ健康で長生きするために必要なこと」がいくつか紹介されていました。
たとえば、「高血圧にならない」、「コレステロール値をコントロールする」、「免疫力を保つ」といったものが挙げられるようです。
おそらく、老化予防というものを、まとめるのなら、これらの数値のコントロールをしながら、若さを保つ体を維持するということが第一なのだと思います。
そして、そのために食事制限をしたり、食べるものを工夫したり、運動をしたりといったアプローチの仕方があるということなのかもしれません。
もちろん、それぞれのアプローチの仕方には、遺伝的なものや、体質的なもの、腸内細菌の環境など、さまざまな要因があり、全員が同じ方法で、同じように健康にいい数値を維持できるわけではなく、人それぞれで違った健康法になるものなのでしょう。
生物の体というのは、とても複雑にできていて、様々な器官や物質が複雑な関係性を持ちながらできているということです。
食事や運動、生活習慣、細胞活動、体内物質、遺伝子、いろんな健康長寿の話がまとまっている本書は、若く長く生きたいと思っている人の参考になること間違いなしです。
ただ、若く長く生きたいという思いは、ほとんどの人に該当する願いだとは思いますが。