どんぶり勘定は低収入より、恐ろしい。

経済的不安や、貯蓄、その他すべてのお金の問題が、収入さえ増えれば、問題はなくなる。と思っている人も少なくないかもしれません。

しかし、実は、収入の多い少ないと、お金の問題は全くの別物です。

収入がいくらあるかよりも、「お金の管理ができているかどうか」の方がずっと大切です。

まさに、本書の帯にある通り、「どんぶり勘定は低収入より、恐ろしい。」という言葉通りです。

世帯の年収が世間から見てそれほど大きいわけでもないのに、貯金額が軽く1,000万円を超えている家庭もあれば、年収がかなり高いのに、毎月住宅ローンやクレジットカードの支払いに追われている家庭もある。

この両者の違いは、間違いなく『家計管理』にあると思っています。

お金についての勉強というと、「保険の入り方」や「投資信託と資産運用」、「老後の公的年金」などが人気ですが、真に学ぶべきお金の話というのは、そういう商品や制度を知ることではなく、『家計管理』の考え方にあるのではないかと思っています。

家計管理の仕方。

家計において「家計の管理の仕方」といっても、どういう話なのかイメージがわかない人もいるかもしれません。もし、「家計の管理の仕方」と聞いて、パッと思いつくような人は、すでに上手に家計管理が出来ている人だと思います。

本書を読んで気づくこととして、家計管理の中に『予算』という考え方を導入することが挙げられます。

この予算というのは、月々の支出の大枠、何にどのくらい使っているのか、いくら以上だと使い過ぎなのか、それらをなんとなくでもいいので、頭の中で支出額の基準値を持っているかどうか、『月にいくらまで使っていいのか』を判断できているかどうか、これが予算化ということなのだと思います。

そして、貯蓄のできる人は、この予算を、実際にほぼ毎月守ることができています。これができれば、予定通り貯金はできるはずという予算なのですから、そんなことは当たり前ではありますが。

本書では、家計の予算化について、より細かな説明をしています。

『月にいくらまで使っていいのか』というようなおおざっぱな話ではなく、複数のカテゴリーに分けて予算化する方法を説いています。

そして、ここからがより重要な話にになってきますが、その予算を実行するためにどうしたらいいのかという、『家計管理の仕方』についても詳しく説明しています。

『家計管理の仕方』とは、例えるなら、銀行口座の使いたです。

銀行口座を複数用意して、それぞれの口座に役割を持たせて使い分けることで、予算を実行しやすくする。

他にも、現金支払いを予算通りに実行するために封筒を使う。支払いと現金引落のタイミングがずれるクレジットカード決済はどう扱うのが良いのかなど。

頭の中で、「いくらまで使っていいのか」のかという予算化をするところまではできても、それを実際に実行するためには、ちょっとコツがいる。

そのコツが、銀行口座などを利用した『家計のシステム化』という工夫です。

本書では、家計の予算化の考え方から、お金管理のシステム化まで、家計管理の基本を具体例を用いて説明してくれています。

もし本書の内容を、そのまま実行することができなかったとしても、それは問題ではないと思います。本書を読んで家計管理の仕方について、何らかのヒントをつかむことの方が大切だと思います。