年利20%の投資法なんてない⁉
「年利20%!」。本当にそんな方法があるのだろうか。
年利20%といえば、あの投資の神様ウォーレン・バフェットに並ぶほどの利回りです。本当にそんな方法がだれにでもできるのだとしたら、みんなが金持ちになれてしまう。
でも、みんなが金持ちになれるなんてことは、ありえない。
みんなが同じ額の資産を持っていたら、その資産額が平均値になって、お金持ちではなくなる。お金持ちというのは、「他の人よりお金を持っている人」だからお金持ちと言われるものです。
だから、年率20%という数字は正直胡散臭いと感じてしまいます。
では、本書の年率20%の資産運用とはなにか。
① イデコやNISAなどの節税制度を活用する。
② 分散投資で各種の資産にバランス運用。
ということでした。
まず、資産分散のバランス運用で年利10%という説明。そして、節税対策で15%以上の節税ができるので、合計すると軽く20%以上のリターンを手にできると言っていっています。
ちょっと怪しい話です。
まず、iDeCoをつかった節税効果によるリターンというのは、その年に拠出した金額にたいしての15%
の節税であって、運用資産額に対しての年利ではありません。そして複利の効果もありません。
確かに、「年利20%」という言葉自体に嘘はないのかもしれないけれど、資産運用界隈でいう年利とはちょっと意味合いが違うようです。いわゆる言葉の綾というものですね。
大切なのはリッチマインド?
正直、本書の投資の方法や運用戦略には、疑問に思うところが多々ありました。
間違ってはいないかもしれませんが、本書で説明しているほどのパフォーマンにはならないのではないかと思っています。
ただ、本書の目的は、そもそも投資の方法を教えることではなかったようです。
そもそも、本書の著者ミアン・サミ自身の資産運用は、本書のような金融商品主体の投資法ではなく、現物の不動産へ投資するスタイルで資産を築いているようです。
本書の本当の目的は、投資や運用の仕方、節税対策などではなく、「リッチマインド」にあるようです。つまりは、お金に対する認識を変えることです。
お金というものは、意外にも人によって捉え方がぜんぜん違っています。大人になるとの話ではなく、子供のころから、その傾向は見て取れます。
そのお金の捉え方、考え方の違いが、リッチマインドに強く影響している。
本書によれば、私達は6歳までにお金に対する考え方などが、ある程度定まることになる。その時のお金イメージが潜在意識に残り、それが何をするにも、考えるにも影響を与えることになるようです。
「節約しなさい」、「お金がない」、そんな言葉を小さい時に聞いて育つと、なんの目的もなく、「なんとなく貯金しなくちゃ」と考えるようになるものです。
本書ではそのお金のイメージ、考え方をもう一度見直してみようといっています。そしてお金持ちに共通する、リッチマインドについて考えてみることの大切さについて説いています。
ただお金をたくさん持っているからリッチなのか、収入が多いからリッチなのか、なんでも買える贅沢をしているからリッチなのか。
リッチというのは、どうやらそうことではなく、お金と上手に付きあうコツを知っている人なのだそうです。リッチになるのに、お金の量は関係ないのかもしれません。
本書の著者も、以前には金融機関に勤めて1億もの高年収を得ていたことがあったけど、当時は全然リッチに感じなかったといっています。
「リッチになるといはどういうことなのか?」
「年利20%以上」なんていう表紙にある言葉が気になって、その投資法を知りたいと読み始めてしまいがちですが、本書はそういう驚異の運用法という内容ではなく、リッチマインドを学ぶための本でした。