バリュー投資は、なぜ勝者のゲームなのか?

投資の世界では、『効率的市場仮説』という理論をもとに投資戦略を考えることが主流になっています。人気のインデックスファンドも、その効率的市場仮説をもとに考え出された最適な運用方法の一つです。

この効率的市場仮説を信じると、「バリュー投資にインデックス投資を超えるような優位性はない」という結論に至ってしまうわけですが、実際にはバリュー投資には市場平均(インデックス)よりも優位性が見られると考えています。

この本は、「なぜバリュー投資がインデックスを超えられるのか?」という話題を、様々なデータや学者の研究結果などを用いて、詳しく説明してくれている一冊です。

日本の投資関連の本で、これほど明確にデータや研究論文、そして自身の経験でもって解説してくれてる本は、正直あまり見られません。とても貴重な良書だと思っています。

この本のように、根拠をはっきりとさせ、尚且つ具体的な投資の手法にまで触れるような本は、ほとんど海外の人が書いた本であることが多いものです。

しかし、海外の人が書いた本の場合、日本の市場とはちょっと癖が違っていたりするので、日本の市場には合わない内容となっていることも多いです。そのため、海外の人が考えた方法や理論が、どこまで日本の市場で通用するのかわからないところがあります。

その点、この本は、科学的な根拠をもとに、日本市場で投資理論を実証している、数少ない本の一つだと思っています。

株式へのバリュー投資とは、超長期の社債を買う感じ?

『エクイティ・ボンド』。これは、著名投資家のウォーレン・バフェットが株式投資について語った言葉です。エクイティ・ボンドの意味合いは、「元本価値が内部成長率で持続的に増殖する優良社債」ということを意味しています。

どういうことかというと、バリュー投資とは、投資対象は株式ではあるけれど、その本質は『社債』に投資をするように、考えて行われるべきだという話です。

株式の価値の成長というのは、企業が稼いだ利益を、配当と、内部成長に利用するための留保金にわけて、株主の利益に貢献していくものだと考えられています。

つまりは、安定的に利益を稼ぐ優良企業への株式投資とは、投資した元本(株式)に、企業利益というクーポンをつけてくれる、社債のようなものであり、そのクーポンは、配当金という形で還元したり、企業が投資家に代わって再投資をし、元本価格(株価)の上昇でもって還元したりしているというわけです。

この本では、このことを直感的に理解できるように説明してくれています。これが、この本から得られる大きなポイントです。

そして具体的な投資の手法としては、PERとROEを確認してバリュー投資を実践する方法が紹介されていました。

この本はきっと、バリュー投資を志している人や株式投資に挑戦したいと思っている人にとって、とても参考になるおすすめの一冊だと思っています。