お金というのは、方法論よりもマインドが重要。
「お金を上手に管理できない。」と思っている人は結構います。そして、その理由に、「お金のことを今まで教わったことがなかった」、「お金の管理の仕方や方法がわからない」と思っている人も少なくありません。
でも、そうではなかったようです。お金の管理でもっとも重要なポイントは、方法ではなく『マインド』にあったという事がよくわかる本です。
ファイナンシャルプランナーのお金の相談などで、お金管理の方法を教わったとしても、実際にその通りに実践したという人は思いのほか少ない。その理由の多くが、お金を管理するということの『マインド』ができてきないことにあります。
マインドとは、お金に対して感じたり考えたりする私たちの心の作用のことです。
私たちは、意外と無意識的にお金を取り扱っていることが多いものです。そしてその時の私たちは、合理的な判断よりも、感情などの心理的な作用でお金を扱っていることがほとんどです。
本書の中では、人の脳を、ワニの脳、サルの脳、そして科学者の脳に分けて説明しています。
実は、プロスペクト理論を提唱した著名な心理学者のダニエル・カーネマンも、ファスト&スローという言葉を使ってそれを説明しています。
つまり私たちは、自分たちが思っているほど合理的にお金を取り扱えていないということです。そして本書では、この合理的にお金を扱えない私たちのワニとサルの脳が、子供時代の経験などが大きく影響しているということを説明しています。
間違いを直すことよりも、知ることから始める。
子どもの頃のトラウマや体験などによって、いつの間にかに刷り込まれてしまっている、お金に対する間違った思い込み。
その間違いを直すことは、とても難しい。私たちのワニの脳やサルの脳に埋め込まれたものは、一種の本能的なものなので、なかなか直ることはありません。
でも直らないものだといって、あきらめてしまうのではなく、そのことを知っているだけでも大きな違いがあると本書では言っています。『いちばん助かるのは、いまなら古いマネーのシナリオのどれかが現れればすぐに気づくことです』という、本書の著者のセラピーを受けた人の話が載っていました。
本書のポイントは、直す直さないではなく、私たちがお金の取り扱いを間違えてしまう理由とは何なのか、そして私たちが経験してきた中の、なにがそうさせているのか、それを知ることにあります。
本書を読むことで、そういう自分の過去と向き合い、そしていつの間にか身についてしまっている間違ったマネーセンスに気づくことができます。