2024年1月、NISA制度が新しくなる⁉
はっきり言ってしまえば、今まで使い勝手の悪かったNISA制度が、2024年1月に新しくなって、今までよりも使い勝手の良いものになることが期待されています。
一番の注目ポイントは、『恒久化』です。
今までのNISA制度には、投資期間などに期限が設けられていたため、資産運用に使うには不向きな制度でした。そもそもNISAは、資産運用に使うための制度であるはずなのに、その資産運用に不向きの制度になっているというのは、なんとも残念な話です。
「おそらく、投資や資産運用に関して、ほとんど知識や経験のない人が考えた制度なんだろうな。」と思ってしまうぐらいです。
資産運用や投資は、『長期で取り組むもの』という話は、今や一般常識的な話です。正直、非課税期間に期限を設けるというのは、さっぱり意味が分かりません。
投資や資産運用というのは、数年単位の短期間では、利益となるか損失となるかは全然わからない不確実性が高いものなのですが、数十年単位の長期間になると、利益がでる確率がグンと上がるという傾向がみられます。
つまり、損得の不確実性の高い短期投資で非課税枠を用意したところで、そんなものはギャンブルでしかなく、投資や資産運用ではありません。
非課税期間を設けるのなら、『長期投資』を前提として制度を考えてもらわなければ、利用価値のない制度となってしまうのは当然です。
その後、長期間の投資を前提とした、積立NISAも始まりましたが、積立投資が前提という考え方も、若干いまいちでした。非課税のメリットを享受するのなら、あくまで市場が健全な状態で推移するのならではありますが、最初から投資額は大きくして始めた方のが、非課税のメリットは大きくなります。
小さな金額でコツコツと積立しても、あまり大きな利益は期待できないので、非課税メリットも限られたものになってしまいます。
今までのNISAという制度は、正直「使っても使わなくても、どっちでもいい感じ」という印象のものでした。しかし、今回新しくなった新NISAは、期限が『恒久化』となったことで、使い勝手がかなり良くなり、尚且つ非課税投資限度額も最大1,800万円と拡大されたことで、一般消費者感覚での資産形成ならば、十分な規模の資産形成を非課税メリットを受けながら進めることができるようになりそうです。
もっと言うならば、投資や資産運用のための資金は、そのほとんどをNISA口座で運用することが賢い使い方になる可能性さえ出てきました。
非課税枠を繰り返し使えるという点がナイスです!
NISA制度の恒久化、非課税期間の恒久化、そして非課税限度額の拡大。そこまでは当然に変更されるべき内容だったのかもしれませんが、今回それ以上に注目したいポイントは、『非課税枠の再利用』です。
これまでのNISAは、NISAの非課税枠で購入した株式などの金融商品は、その後売却をしてしまうと、購入した時に利用した非課税枠は、切り捨てられてる使い切りのものとなっていました。
これだと、特定の銘柄の株式をNISA口座で購入した場合、状況の変化に応じて違う銘柄に入れ替えたり、ポートフォリオのバランスを整えるリバランスする時などに、利用しにくくなってしまいます。
これらの銘柄入れ替えやリバランスという調整は、資産運用をするなら常識ともいえる、当たり前の作業です。それなのに、資産運用で非課税メリットを得ようとNISA口座を使うと、この銘柄入れ替えやリバランスがやりにくくなってしまう。
今までのNISAは、まともな投資や資産運用をするのには全く向いていない。投資や資産運用に関心はあるけれど、ほとんど何もわかっていない人に投資をさせるための制度だと言われても仕方がありません。
ですが、今度の新NISAでは、NISA口座で購入した資産を売却した時には、翌年に買値で非課税枠が復活するという制度になっています。これによって、非課税枠を再利用しながら、銘柄の入れ替えやポートフォリオのリバランスを行うことが出来るようになります。
これは、大きな変更点です。投資や資産運用では、銘柄の入れ替え作業やポートフォリオのリバランスという作業は、必須ともいえる重要なことです。もっと言うなら、もっともシンプルな資産運用の方法は、「インデックスファンドに投資して、定期的にリバランスを行うこと」、これだけといっても過言ではないとさえ思っています。
新NISAは、非課税枠の再利用という仕組みが使えるようになることで、1,800万円の非課税限度枠をめいっぱい使いながら、リバランスをしながら資産運用が行えるようになるかもしれない。
本来あるべき資産運用のスタイルを、非課税枠で行うことが出来るようになるというのは、かなり大きな変化だと思っています
今までのNISA口座では上手く利用できなかった、『長期投資』そして『ポートフォリオのリバランス』、この資産運用では当たり前と言われれている基本的なことが、新NISAでは可能になるかもしれない。
これからは、NISA口座を上手く使っていくことが、資産形成のポイントになってくるのかもしれません。