投資でお金が増えないのはなぜか?
「投資でお金を増やしたい。」と思っても、なかなか思うように増えない。
日経平均やS&P500などの株価指数は順調に上昇しているのに、自分の資産はそれほど増えていない。
それってなぜなのだろう。その答えが、この本には書いてあります。お金が増えない理由、それは投資をする自分の心と行動にありました。
この本は、投資で悩む人、そして投資で上手くいかないと感じている人にとって、とても有益な本だと思います。
効率的市場仮説などの経済学では、金融市場は、合理的に判断し動いていると考えられていますが、決してそんなことはないという事が最近よく知られるようになってきました。
なぜなら、金融市場の主体である私たち人間自体が、合理的ではないからです。
私たちの判断の元となっているのは、合理的な考えではなく、感情によるところが非常に多い。欲や見栄、恐怖や不安、楽観や悲観、などといった感情で物事を判断していることがとても多いものです。
そしてそれは、たくさんの人が集まった金融市場であっても例外ではないと言われています。効率的市場仮説などを扱っている経済学での考え方では、一人一人の判断力が間違っていても、大勢集まることで、正しい合理的な判断ができるようになるという前提で物事を考えているようですが、現実的には、そんなことは決してないと言われています。
実際、金融市場は合理的に動いてはいないという事を証明するかのように、現実にバブルとその崩壊を何度も懲りることなく繰り返しています。
金融市場や私たち個人個人が、合理的に判断し行動することが出来ないがために、本来金融市場で儲けられるはずだった利益をみすみす逃してしまっている。
だからこそ、本書が示す投資へのアプローチ方法。『行動科学的な投資手法』が効果的だというわけです。
行動科学的な投資手法
本書で説明されている『行動科学的な投資手法』は、おそらく投資をする際の最も正しい選択になると思っています。
まず本書では、「一貫したルール」という事を挙げています。投資をする際の銘柄選びなどに、統計的なエビデンスに従ったルールを守ることの大切さを説いています。
人は、欲や不安などによって、正しい判断が出来なくなります。そして手っ取り早く儲かりそうな「人気のあるところ」に飛びつきたくなり、その結果、「高く買って安く売る」という投資で儲けるために必要なことと逆のことをしてしまうことになります。
だからこそ、感情だけで判断しないためのルールを持つことが大切になります。
さらに言えば、このルールという話は、私たち個人個人だけの話ではなく、投資信託などにも当てはまり、今人気のインデックスファンドであっても例外ではありません。
本書では、インデックスファンドが、投資先として必ずしも正しい選択肢となるわけではないと言っています。
インデックスファンドの基本的な姿勢であるパッシブに運用することは大切ではあるけど、そもそも合理的な判断で動いていない株価指数などとパフォーマンスを連動させるのは正しい方法ではないと考えています。
しかし、だからといってアクティブ運用が正解になるわけでもないとも言っています。
最終的には、インデックスファンドとアクティブファンド、どちらにもメリットとデメリットがある。そして、最適解となる投資は、そのインデックスとアクティブの間にあると言っています。
本書の内容は、効率的市場仮説とインデックスファンドこそが最も正しい投資の選択肢だと思っていた人が読んだら、目から鱗の話しになる気がします。
詳しい話は、ぜひ本書を読んで理解してもらいたいところですが、この本の考え方には、非常に納得できる説得力があります。
あくまでも個人的な意見ではありますが、この本に書いてあることを実現できれば、投資で成功する確率は、自己流の投資やインデックスファンドを買っているという場合よりも、ずっと高くなるだろうと思います。
投資で資産を増やしたい者にとって、非常に有益なことが学べる良い本だと思いました。数ある投資の本の中でも、おすすめできる本として挙げられる一冊だと感じました。